障害福祉サービスガイド

WAM NETのオープンデータを基にした障害福祉サービスの検索サイトです。自治体ごとの事業所の一覧を表示するまでを目的にしているので各事業所の詳細は公式サイトやWAMを検索してください。事業所の情報を追加することも可能です。共同生活援助は専用の障害者グループホームガイドもあります。

地域別市場分析(2026年3月版)

概要

本分析は、2026年3月時点のWAMデータに基づき、障害福祉サービス市場を地域別に分析したものです。2025年9月データとの直接比較に加え、2021年11月からの長期トレンドを踏まえた地域ごとの市場特性と成長動向を明らかにします。また、都市規模や人口動態に応じた市場の変化と事業機会についても考察します。

都道府県別 施設数ランキング

施設数上位都道府県(2026年3月時点)

順位 都道府県 施設数 全国比
1 大阪府 26,606施設 12.7%
2 東京都 14,309施設 6.8%
3 愛知県 12,614施設 6.0%
4 北海道 11,902施設 5.7%
5 神奈川県 11,127施設 5.3%

施設数上位5都道府県(2026年3月)

上位5都道府県で全国の施設数の36.5%を占めています。大阪府は引き続き突出した施設数で首位を維持しています。前期(2025年9月)からの変化として、大阪府(25,569→26,606, +4.1%)の成長が市場平均を上回っており、首位の地位をさらに固めています。東京都(13,941→14,309, +2.6%)も安定した成長を示しています。

大都市圏 施設数(2026年3月時点)

大都市圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府)の施設数は83,985施設で、全国の40.1%を占めています。

地方圏 施設数(2026年3月時点)

地方圏(大都市圏以外の道県)の施設数は125,467施設で、全国の59.9%を占めています。

地域ブロック別分析

大都市圏と地方圏の比較

2026年3月時点の大都市圏と地方圏の比較

項目 大都市圏 地方圏 全国
施設数 83,985施設 125,467施設 209,452施設
全国比 40.1% 59.9% 100%
人口10万人あたり施設数 140.5施設 183.8施設 168.2施設
児童系サービス比率 14.0% 12.3% 13.0%
訪問系サービス比率 32.0% 28.5% 29.5%
入所系サービス比率 1.6% 2.4% 2.1%

人口10万人あたりの施設数(2026年3月)

※大都市圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府
※地方圏:上記以外の道県

人口あたりの施設数は地方圏が大都市圏を大きく上回る状況が続いています。地方圏では人口10万人あたり183.8施設であるのに対し、大都市圏では140.5施設となっており、都市部では効率的なサービス提供がなされているものの、人口あたりの充足度では依然として地域間差が存在しています。

大都市圏の特性と変化

大都市圏の特徴的な動向(2025年9月→2026年3月)

  1. 専門特化型サービスの増加

    • 医療的ケア児支援:継続的な成長
    • 発達障害専門型就労支援:需要増加
    • 就労定着支援:成長加速
  2. エリア間格差の動向

    • 都心部と周辺部の施設数格差は縮小傾向
    • 首都圏郊外での放課後等デイサービス・児童発達支援の高成長
  3. サービス複合化の進行

    • 多機能型事業所の増加が継続
    • 特に就労移行支援+就労定着支援、児童発達支援+保育所等訪問支援の組み合わせが増加

地方圏の特性と変化

地方圏の特徴的な動向(2025年9月→2026年3月)

  1. 県庁所在地・中核市への集中

    • 県庁所在地への施設集中が継続
    • 郡部の成長率は県庁所在地を下回る傾向
  2. 広域対応型サービスの増加

    • 送迎範囲の広いサービスの需要増
    • 複数市町村をカバーする相談支援事業所の増加
  3. 小規模多機能型の展開

    • 複数サービス組み合わせ型の小規模事業所の増加
    • 地域資源と連携した展開(農福連携等)の進展

都市規模別分析

2026年3月時点での都市規模別の市場状況は以下の通りです:

政令指定都市(20市)

  • 施設数: 約60,500施設(全国比28.9%)
  • 人口10万人あたり施設数: 143.8施設
  • 特徴的なサービス:
    • 高い成長:就労定着支援、保育所等訪問支援
    • 低い成長:施設入所支援、療養介護
  • 市場特性:
    • 専門性の高いサービスの集積
    • 競争環境の激化(特に児童系サービス)
    • ICT活用型・効率化重視の運営

中核市・特例市(62市)

  • 施設数: 約47,000施設(全国比22.4%)
  • 人口10万人あたり施設数: 157.4施設
  • 特徴的なサービス:
    • 高い成長:自立生活援助、保育所等訪問支援
    • 低い成長:重度訪問介護
  • 市場特性:
    • バランスのとれたサービス展開
    • 地域ニーズに応じた柔軟な対応
    • 安定した成長率と参入余地

その他の市町村(1,659市町村)

  • 施設数: 約101,900施設(全国比48.7%)
  • 人口10万人あたり施設数: 187.9施設
  • 特徴的なサービス:
    • 高い成長:障害児相談支援、共同生活援助
    • 低い成長:就労継続支援A型、宿泊型自立訓練
  • 市場特性:
    • 地域資源との連携重視
    • 複合的サービス提供
    • 地域格差の存在(人口規模・地理的特性による違い)

長期的地域変化の分析(2021年11月~2026年3月)

都道府県別 長期変化の特徴

2021年11月から2026年3月までの約4年半の長期データから、以下の特徴が確認できます:

高成長の地域特性

  • 人口増加または安定している地域
  • 児童人口の維持されている地域
  • 行政による積極的な施策がある地域
  • 医療・教育機関との連携基盤がある地域

低成長の地域特性

  • 人口減少率が高い地域
  • 高齢化率が特に高い地域
  • 既存サービスが充実し充足している地域
  • 地理的制約が大きい地域

新興エリアと成熟エリア

新興成長エリア(直近の成長が特に高いエリア)

  • 首都圏郊外の新興住宅地(つくばエクスプレス沿線、横浜市北部等)
  • 地方中核市の周辺部(仙台市泉区、熊本市東区等)
  • リモートワーク増加による移住先

成熟安定エリア(施設充足度が高く成長が緩やかなエリア)

  • 大都市中心部(東京23区中心部、大阪市中心部、名古屋市中区等)
  • 古くからの住宅地
  • 人口減少が進む地方都市中心部

人口動態と市場の関係

人口増減による地域分類と市場特性

人口増加地域(過去5年間で人口が増加している市区町村)

  • 施設数増加率:全国平均より高い
  • 特徴:児童系サービスの高い成長率
  • 主な地域:東京都多摩地域、つくば市、福岡市南区等

人口維持地域(過去5年間で人口変動±1%以内の市区町村)

  • 施設数増加率:全国平均に近い
  • 特徴:バランスの取れたサービス構成
  • 主な地域:仙台市青葉区、広島市中区、名古屋市千種区等

人口減少地域(過去5年間で人口が1~5%減少した市区町村)

  • 施設数増加率:全国平均より低い
  • 特徴:高齢障害者向けサービスの比率が高い
  • 主な地域:京都市北区、静岡市葵区、金沢市等

人口急減地域(過去5年間で人口が5%以上減少した市区町村)

  • 施設数増加率:全国平均を大きく下回る
  • 特徴:事業の統合・集約化の動き
  • 主な地域:秋田市、青森市、高知市等

将来人口推計からみる成長可能性

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口を基に、2030年までの人口変動と障害福祉サービスニーズを分析すると、以下のような傾向が予測されます:

  1. 児童系サービスの地域偏在

    • 0~14歳人口が維持・増加する地域は限定的
    • これらの地域での児童系サービス需要は継続的に増加する可能性
  2. 高齢障害者対応の重要性

    • 65歳以上障害者の増加率が特に高い地域:全国の約7割の市区町村
    • 介護保険と障害福祉の連携サービスの需要増加
  3. 地域間格差の拡大リスク

    • 人口減少率が高い市町村では、サービス提供体制の維持が課題
    • 拠点集約型・広域対応型のサービス提供モデルの必要性

都道府県別の市場特性分析

充足度による地域分類

人口10万人あたりの障害福祉サービス施設数による充足度分析:

  1. 高充足地域(180施設以上/10万人)

    • 該当都道府県:大阪府、沖縄県、鹿児島県、徳島県など
    • 特徴:競争環境が激しく、専門性による差別化が重要
    • 今後の見通し:質的向上と効率化が進む
  2. 中充足地域(150~180施設/10万人)

    • 該当都道府県:北海道、岩手県、広島県、福岡県など
    • 特徴:バランスの取れたサービス展開
    • 今後の見通し:成長が続くが次第に鈍化
  3. 低充足地域(120~150施設/10万人)

    • 該当都道府県:東京都、神奈川県、愛知県など
    • 特徴:都市部に多く、効率的なサービス展開
    • 今後の見通し:需要に応じた安定成長
  4. 未充足地域(120施設未満/10万人)

    • 該当都道府県:埼玉県、千葉県、茨城県など
    • 特徴:首都圏外縁部に多く、成長余地が大きい
    • 今後の見通し:当面は高い成長が継続

地域特性に応じた事業展開の方向性

大都市中心部

  • 市場特性:専門人材あり、競争激化、高コスト
  • 有効な事業展開:専門特化型、ニッチ市場開拓
  • 成功事例:医療的ケア児専門の児童発達支援

大都市周辺部

  • 市場特性:人口集積、通勤利便性、中程度の競争
  • 有効な事業展開:通所・訪問の複合展開、送迎範囲の最適化
  • 成功事例:駅前立地型の就労支援複合施設

地方中核市

  • 市場特性:広域からの利用者、行政との連携重要
  • 有効な事業展開:多機能型、地域連携型
  • 成功事例:医療・教育機関と連携した発達支援センター

地方小都市・郡部

  • 市場特性:移動制約大、施設間連携必須
  • 有効な事業展開:地域資源活用型、送迎付複合型
  • 成功事例:農業と連携した就労支援・生活介護複合施設

総括と今後の展望

2026年3月時点の地域別市場分析と長期トレンドから、以下の特徴と今後の展望が見えてきます:

  1. 地域間格差の継続的是正傾向:

    • 大都市圏と地方圏の成長率格差は縮小傾向
    • 人口10万人あたりの施設数は依然として地方が多い(183.8施設 vs 140.5施設)
    • 今後も地域特性に応じた発展が進む見通し
  2. 都市規模による発展パターンの分化:

    • 政令市:専門特化と効率化
    • 中核市:バランス型発展と安定成長
    • 小都市・郡部:複合型・連携型の展開
  3. 人口動態を踏まえた展望:

    • 人口増加地域:児童系・就労系サービスの安定的成長が継続
    • 人口減少地域:効率化と地域資源連携による持続可能な体制構築が課題
  4. 地域別の事業機会:

    • 未充足地域(埼玉県、千葉県等):基本サービスの整備余地
    • 高充足地域(大阪府、沖縄県等):専門特化による差別化

障害福祉サービス市場は全国的に安定成長を続けていますが、地域によって異なる発展段階にあります。今後、人口動態の変化や地域医療・介護体制の再編などの影響を受けながら、それぞれの地域特性に応じた発展が予想されます。事業者には、単なる全国的なトレンドだけでなく、各地域の特性や変化を的確に捉えた戦略的な展開が求められるでしょう。


本分析は2026年3月時点のWAMデータに基づき、2025年9月との比較により全国各地域の障害福祉サービス状況を分析したものです。全ての数値は公開データを基に算出しており、一部推計を含みます。地域特性指標は人口統計データとの複合分析結果です。本記事が事業者の皆様の地域特性を活かした事業展開に寄与することを願っています。

2026年03月の記事

障害福祉サービス市場概況分析(2026年3月版)

障害福祉サービス市場は成長率2.9%と安定成長を継続し、総施設数は20.9万施設に到達。2021年11月から約43%増加し、年間平均約8.5%の堅調な成長が継続。保育所等訪問支援+7.7%・就労定着支援+5.3%など専門系サービスの成長が顕著で、株式会社の構成比が38.3%に上昇。量的拡大から質的向上へのシフトが一段と進展。

地域別市場分析(2026年3月版)

障害福祉サービス市場における地域間格差は継続的に是正傾向にあり、大都市圏と地方圏の成長率格差は縮小。人口10万人あたりの施設数は全国平均168.2施設に到達し前回比+3.5%増加。大阪府が26,606施設で首位を維持し、東京都(14,309施設)の約1.9倍の規模。地域特性に応じた発展パターンが明確化し、都市規模別の戦略的展開が一層重要に。

サービス種別トレンド分析(2026年3月版)

2026年3月時点で障害福祉サービス全体の施設数は209,452施設に拡大。保育所等訪問支援が+7.7%でトップ成長率を記録し、就労定着支援(+5.3%)、児童発達支援(+4.6%)、就労継続支援B型(+4.4%)が続く。放課後等デイサービス(25,020施設)と居宅介護(25,386施設)が規模上位で激戦。医療型児童発達支援は-5.1%で唯一の大幅縮小。2021年11月からの5年間で保育所等訪問支援は+152.5%の劇的成長。

事業者類型別ビジネスモデル分析(2026年3月版)

2026年3月時点で株式会社が全施設数の38.3%(80,176施設)を占め、前期比+4.7%と最高の成長率。社会福祉法人は53,782施設(25.7%)で+0.5%の低成長。2021年11月からの5年間で株式会社は+83.2%と圧倒的な成長を示す一方、社会福祉法人は+8.5%と緩やか。事業者規模別では平均定員が株式会社4.9名に対し社会福祉法人11.2名と大きな差があり、事業者類型ごとに異なるビジネスモデルが確立。

定員・利用率分析(2026年3月版)

障害福祉サービス市場の総定員数は1,423,384名で前期比+2.8%増加。療養介護の平均定員87.4名が最大、短期入所4.8名が最小。小規模施設(10名以下)が全体の56.1%を占める一方、大規模施設は平均49.6名の高効率運営。中規模施設の成長率+3.7%が最高で、適正規模への移行が進む。地方圏の平均定員が大都市圏を上回る傾向が継続。

成長機会分析(2026年3月版)

2026年3月のWAMデータ分析から、障害福祉サービス市場における成長機会を特定。首都圏周辺県(神奈川・埼玉・千葉)では引き続き供給不足が継続。保育所等訪問支援が+7.7%と最高成長率を記録し、就労定着支援(+5.3%)、児童発達支援(+4.6%)が続く。人口10万人あたりの全国平均は168.2施設に到達し継続して増加。専門特化型サービス(医療的ケア児支援・強度行動障害対応等)での需給ギャップが明確で、新規参入の余地が大きい。