障害福祉サービスガイド

WAM NETのオープンデータを基にした障害福祉サービスの検索サイトです。自治体ごとの事業所の一覧を表示するまでを目的にしているので各事業所の詳細は公式サイトやWAMを検索してください。事業所の情報を追加することも可能です。共同生活援助は専用の障害者グループホームガイドもあります。

定員・利用率分析(2026年3月版)

概要

本分析は、2026年3月時点のWAMデータに基づき、障害福祉サービス事業所の定員規模と運営効率との相関を分析したものです。2025年9月データとの比較に加え、2021年11月からの長期トレンド分析も含め、最適な事業規模の考察と効率的な運営のあり方を探ります。

サービス別の定員分析

主要サービスの平均定員数

2026年3月時点の主要サービス別平均定員数

サービス種別 平均定員数 事業所数 総定員数
療養介護 87.4名 267施設 23,346名
施設入所支援 48.9名 2,565施設 125,451名
生活介護 24.5名 13,260施設 325,473名
就労継続支援B型 17.7名 20,783施設 368,050名
就労継続支援A型 15.8名 4,650施設 73,518名
宿泊型自立訓練 16.8名 220施設 3,692名
自立訓練(機能訓練) 17.6名 297施設 5,232名
自立訓練(生活訓練) 11.7名 1,638施設 19,232名
就労移行支援 11.8名 3,396施設 40,080名
児童発達支援 9.2名 16,993施設 155,739名
放課後等デイサービス 8.5名 25,020施設 213,977名
短期入所 4.8名 9,145施設 44,092名

主要サービス別の平均定員数(2026年3月)

前期(2025年9月)との比較では、ほとんどのサービスで平均定員数に大きな変化は見られません。療養介護が86.6名→87.4名(+0.8名)とわずかに増加しているほか、就労移行支援は11.7名→11.8名と横ばいです。これは市場が成熟期に入り、各サービスの適正規模がある程度確立されてきたことを示しています。

長期的な平均定員数の推移(2021年11月~2026年3月)

サービス種別ごとの平均定員数は、約4年半の期間でも比較的安定しています。入所系・居住系サービスでは微増傾向、通所系・児童系サービスでは安定または微減傾向が見られます。

定員規模別の施設分布

2026年3月時点の定員規模別施設分布(定員を持つサービスのみ)

定員規模 施設数 構成比 平均定員 前期比
大規模(30名以上) 10,121施設 12.1% 49.6名 +1.4%
中規模(11〜30名) 26,677施設 31.8% 19.4名 +3.7%
小規模(10名以下) 47,007施設 56.1% 8.6名 +4.0%

定員規模別の施設数分布(2026年3月)

円グラフのセグメントにカーソルを合わせると詳細が表示されます

定員を持つサービスにおいて、小規模施設(10名以下)が過半数(56.1%)を占めており、小規模・専門特化型の事業展開が主流となっています。前期比の成長率では小規模施設(+4.0%)と中規模施設(+3.7%)が大規模施設(+1.4%)を大きく上回っており、参入しやすい小規模施設の増加が継続しています。

総定員数の推移

2021年11月以降の総定員数の推移

期間 総定員数 前期比
2021年11月 1,006,468名
2022年3月 1,023,194名 +1.7%
2022年9月 1,067,383名 +4.3%
2023年3月 1,086,380名 +1.8%
2023年9月 1,127,119名 +3.8%
2024年3月 1,183,220名 +5.0%
2024年9月 1,287,113名 +8.8%
2025年3月 1,329,969名 +3.3%
2025年9月 1,383,988名 +4.1%
2026年3月 1,423,384名 +2.8%

総定員数の長期推移(名)

総定員数は2021年11月の約100万名から2026年3月には142万名を超え、4年半で +41.4% の増加となっています。直近の増加率は+2.8%とやや鈍化しており、市場の成熟化が反映されています。

規模別の収益性と運営効率

定員規模と収益性の相関

定員規模と収益性には引き続き強い相関関係が見られます。規模が大きいほど固定費の分散効果が得られること、間接業務の効率化が図れること、人材配置の最適化が可能になることなどが要因です。

規模別の運営効率指標

定員規模別の主要運営指標(2026年3月時点・推計)

定員規模 人件費率 職員1人あたり利用者数
小規模(10名以下) 73.5% 2.2名
中規模(11〜30名) 69.8% 2.9名
大規模(30名以上) 66.5% 3.2名

大規模事業者は経営効率の面で優位性を持っており、特に低い人件費率が特徴的です。小規模と大規模を比較すると、人件費率に7.0%ポイントの差があります。

各地域による定員設定の傾向

都市部と地方部の比較

地域別の平均定員数(主要サービス・2026年3月)

サービス種別 大都市圏平均 地方圏平均 差異
生活介護 23.2名 26.9名 +3.7名
就労継続支援B型 17.0名 18.9名 +1.9名
放課後等デイサービス 8.2名 8.9名 +0.7名

地方圏と大都市圏の定員規模の差は継続して確認されており、地方圏の方が平均定員数が大きい傾向があります。この地域差が生じる要因として、①地方では施設数が少ないため1施設あたりのカバー範囲が広い、②地方は土地・建物コストが低く広いスペースを確保しやすい、③地方では複数サービス機能を集約した多機能型事業所が多い、などが考えられます。

人口密度と定員サイズの相関

人口密度別の平均定員数(生活介護・就労継続支援B型の平均)

人口密度(人/km²) 平均定員数 特徴
5,000以上(東京23区等) 20.6名 小規模・専門特化型が主流
1,000〜5,000(中核市等) 22.4名 バランス型が多い
300〜1,000(地方都市) 24.3名 中規模総合型が中心
300未満(郡部等) 27.9名 大規模多機能型が中心

人口密度と定員規模の間には明確な相関関係があり、人口密度が低いほど平均定員数が大きくなっています。

最適定員規模の検討

サービス別の最適規模

各サービスの運営実績データから分析した最適規模の考察:

生活介護

  • 推奨定員規模: 20〜40名(地域特性による)
  • 理由: 入浴・排泄・食事介助の効率化、専門職の適正配置

就労継続支援B型

  • 推奨定員規模: 20〜30名(作業内容による)
  • 理由: 生産活動の効率化、多様な作業種の確保、固定費の分散

放課後等デイサービス

  • 推奨定員規模: 10~15名(支援内容による)
  • 理由: 個別支援の質確保と運営効率のバランス

共同生活援助

  • 推奨定員規模: 本体10名前後+サテライト型
  • 理由: 家庭的環境の維持と夜間支援体制の効率化の両立

地域特性による最適規模の違い

地域の人口密度や交通アクセス、競合状況などによって最適な定員規模は異なります。

地域別の推奨定員規模(生活介護の例)

地域特性 推奨定員規模 根拠
大都市中心部 15〜25名 高い土地・建物コスト、交通利便性
大都市周辺部 20〜35名 中程度の土地コスト、適度な人口密度
地方中核市 25〜40名 広域からの通所可能性
郡部 30〜50名 より広域からの利用者確保、多機能化の必要性

小規模事業所の生存戦略

定員規模によるスケールメリットがある中で、小規模事業所が存続・成長するための戦略:

成功している小規模事業所の特徴

  1. 専門特化型

    • 特定の障害や支援手法に特化した専門性の高いサービス提供
    • 成功要因: 高い専門性による差別化、専門職の確保
  2. 地域密着型

    • 特定地域に根差した強い地域連携と信頼関係
    • 成功要因: 地域からの紹介の多さ、地域資源の有効活用
  3. 連携型

    • 他機関・他事業所との密接な連携による機能補完
    • 成功要因: 連携先からの安定した利用者紹介
  4. 複合型

    • 複数の小規模サービスの組み合わせによる相互補完
    • 成功要因: 間接コストの分散、サービス間の利用者移行

小規模から中規模への段階的成長モデル

定員規模の最適化を段階的に進めるための成長モデル(就労継続支援B型の例):

  1. 立ち上げ期(定員10~15名): 地域ニーズの把握と特色ある事業コンセプト確立
  2. 安定期(定員15~20名): 作業種の拡大と生産活動の安定化
  3. 拡大期(定員20~25名): 職業指導と生活支援の専門性向上
  4. 成熟期(多機能化・複数展開): 定員の適正維持と多機能化

定員と運営の最適化戦略

運営改善のための施策

安定した運営を実現するための効果的な施策:

  1. 予約・キャンセル管理の最適化: キャンセル率の分析と代替利用者確保システムの構築
  2. ターゲット利用者層の明確化: サービスの強みに合った利用者ニーズの特定
  3. サービス質の向上と可視化: 支援の質向上と効果の見える化
  4. 関係機関との連携強化: 紹介元となる機関との信頼関係構築
  5. 送迎範囲の最適化: 利用ニーズと効率性を両立した送迎エリア設定

定員変更の判断基準

定員の増減を検討する際の判断基準:

定員増加を検討すべき条件:

  • 継続的に高い利用率を維持している
  • 安定した利用希望の待機者がいる
  • 人員体制と設備の余力がある

定員減少を検討すべき条件:

  • 継続的に低い利用率が続いている
  • 営業努力が成果を上げていない
  • 現状の人員体制維持が収益を圧迫している

総括と今後の展望

2026年3月時点の定員分析から、以下の特徴と今後の展望が見えてきます:

  1. 規模の効率化と専門化の両極化:

    • 効率性を重視した大規模施設の安定した運営
    • 専門性を特化した小規模施設の差別化戦略
    • 中規模施設では安定成長が継続(前期比+3.7%と最高成長率)
  2. 地域特性に応じた適正規模の確立:

    • 都市部と地方での明確な定員規模の差異が継続
    • 人口密度と定員サイズの相関関係の安定
    • 地域特性に対応した柔軟な定員設計の重要性
  3. サービス種別ごとの適正規模の確立:

    • 各サービスの特性に応じた最適定員規模が安定
    • 段階的な成長による安定経営の重要性
    • 急激な拡大よりも質を重視した堅実な展開

今後の展望として、事業運営においては「規模の適正化」と「専門性による差別化」のバランスが一層重要となると予想されます。また、ICTの活用による業務効率化や、関係機関との連携強化による安定した利用者確保など、戦略的取り組みがさらに進むと考えられます。


本分析は2026年3月時点のWAMデータに基づき、2025年9月との比較により事業所規模と定員数を分析したものです。全ての数値は公開データを基に算出しており、一部推計を含みます。本記事が事業者の皆様の最適な事業規模検討と効率的な運営に寄与することを願っています。

2026年03月の記事

障害福祉サービス市場概況分析(2026年3月版)

障害福祉サービス市場は成長率2.9%と安定成長を継続し、総施設数は20.9万施設に到達。2021年11月から約43%増加し、年間平均約8.5%の堅調な成長が継続。保育所等訪問支援+7.7%・就労定着支援+5.3%など専門系サービスの成長が顕著で、株式会社の構成比が38.3%に上昇。量的拡大から質的向上へのシフトが一段と進展。

地域別市場分析(2026年3月版)

障害福祉サービス市場における地域間格差は継続的に是正傾向にあり、大都市圏と地方圏の成長率格差は縮小。人口10万人あたりの施設数は全国平均168.2施設に到達し前回比+3.5%増加。大阪府が26,606施設で首位を維持し、東京都(14,309施設)の約1.9倍の規模。地域特性に応じた発展パターンが明確化し、都市規模別の戦略的展開が一層重要に。

サービス種別トレンド分析(2026年3月版)

2026年3月時点で障害福祉サービス全体の施設数は209,452施設に拡大。保育所等訪問支援が+7.7%でトップ成長率を記録し、就労定着支援(+5.3%)、児童発達支援(+4.6%)、就労継続支援B型(+4.4%)が続く。放課後等デイサービス(25,020施設)と居宅介護(25,386施設)が規模上位で激戦。医療型児童発達支援は-5.1%で唯一の大幅縮小。2021年11月からの5年間で保育所等訪問支援は+152.5%の劇的成長。

事業者類型別ビジネスモデル分析(2026年3月版)

2026年3月時点で株式会社が全施設数の38.3%(80,176施設)を占め、前期比+4.7%と最高の成長率。社会福祉法人は53,782施設(25.7%)で+0.5%の低成長。2021年11月からの5年間で株式会社は+83.2%と圧倒的な成長を示す一方、社会福祉法人は+8.5%と緩やか。事業者規模別では平均定員が株式会社4.9名に対し社会福祉法人11.2名と大きな差があり、事業者類型ごとに異なるビジネスモデルが確立。

定員・利用率分析(2026年3月版)

障害福祉サービス市場の総定員数は1,423,384名で前期比+2.8%増加。療養介護の平均定員87.4名が最大、短期入所4.8名が最小。小規模施設(10名以下)が全体の56.1%を占める一方、大規模施設は平均49.6名の高効率運営。中規模施設の成長率+3.7%が最高で、適正規模への移行が進む。地方圏の平均定員が大都市圏を上回る傾向が継続。

成長機会分析(2026年3月版)

2026年3月のWAMデータ分析から、障害福祉サービス市場における成長機会を特定。首都圏周辺県(神奈川・埼玉・千葉)では引き続き供給不足が継続。保育所等訪問支援が+7.7%と最高成長率を記録し、就労定着支援(+5.3%)、児童発達支援(+4.6%)が続く。人口10万人あたりの全国平均は168.2施設に到達し継続して増加。専門特化型サービス(医療的ケア児支援・強度行動障害対応等)での需給ギャップが明確で、新規参入の余地が大きい。