障害福祉サービスガイド

WAM NETのオープンデータを基にした障害福祉サービスの検索サイトです。自治体ごとの事業所の一覧を表示するまでを目的にしているので各事業所の詳細は公式サイトやWAMを検索してください。事業所の情報を追加することも可能です。共同生活援助は専用の障害者グループホームガイドもあります。

地域別市場分析(2021年11月版)

概要

障害者福祉サービス市場における地域特性を詳細に分析し、都道府県別・エリア別の市場機会と課題を明らかにします。事業展開における地域戦略の策定に活用いただける情報を提供します。

都道府県別市場分析

事業所密度ランキング(人口10万人当たり)

上位10都道府県

  1. 高知県:67.2事業所
  2. 鳥取県:64.8事業所
  3. 島根県:61.3事業所
  4. 徳島県:58.9事業所
  5. 佐賀県:56.4事業所
  6. 福岡県:52.8事業所
  7. 大分県:49.7事業所
  8. 熊本県:47.2事業所
  9. 宮崎県:45.8事業所
  10. 大阪府:43.1事業所

下位5都道府県

  1. 埼玉県:18.2事業所
  2. 千葉県:21.4事業所
  3. 茨城県:22.8事業所
  4. 神奈川県:27.2事業所
  5. 東京都:30.2事業所

地域特性分析

四国地方

  • 特徴:全国で最も事業所密度が高い地域
  • 背景:人口減少による相対的密度の上昇、地域福祉政策の充実
  • 事業機会:高品質サービスによる差別化、広域連携

九州地方

  • 特徴:安定した事業所密度、バランスの取れた市場
  • 背景:地域コミュニティの結束、福祉意識の高さ
  • 事業機会:地域密着型サービス、多角化戦略

首都圏

  • 特徴:事業所密度は低いが絶対数は多い
  • 背景:人口集中、競争激化
  • 事業機会:専門性の高いサービス、効率的運営

サービス種別の地域分布

居宅系サービス

充実地域

  • 東京都、大阪府、愛知県
  • 都市部での訪問サービス需要に対応
  • 交通インフラの充実が要因

不足地域

  • 北海道、東北地方の一部、離島部
  • 移動距離の長さが課題
  • 効率的な訪問ルート設計が重要

就労系サービス

充実地域

  • 大阪府、福岡県、愛知県
  • 企業との連携体制が整備
  • 就労機会の豊富さが背景

成長地域

  • 静岡県、広島県、宮城県
  • 地域経済の活性化に伴う需要増
  • 新規参入の機会あり

児童系サービス

急成長地域

  • 福岡県、愛知県、埼玉県
  • 子育て世代の増加
  • 早期療育への関心の高まり

参入機会地域

  • 山形県、島根県、高知県
  • 人口当たりの事業所数が少ない
  • 地域ニーズの掘り起こしが重要

都市部vs地方部の比較分析

都市部(政令指定都市)の特徴

東京都心部

  • 事業所数:4,200事業所超
  • 平均定員:12.8人(小規模志向)
  • 主要サービス:居宅介護、児童発達支援
  • 課題:人件費高騰、競争激化

大阪市

  • 事業所数:1,800事業所超
  • 平均定員:15.2人
  • 主要サービス:就労継続支援B型、居宅介護
  • 特徴:法人間連携が活発

名古屋市

  • 事業所数:1,200事業所超
  • 平均定員:18.7人
  • 主要サービス:生活介護、就労継続支援
  • 特徴:製造業との連携

地方部の特徴

中核市レベル

  • 事業所数:200-500事業所
  • 平均定員:22.3人(中規模中心)
  • 主要サービス:生活介護、共同生活援助
  • 特徴:地域密着型運営

小都市・町村部

  • 事業所数:50-200事業所
  • 平均定員:28.5人(大規模志向)
  • 主要サービス:入所系、通所系
  • 課題:人材確保、利用者確保

地域格差の要因分析

経済的要因

高所得地域

  • 株式会社の参入が活発
  • 多様なサービス展開
  • 利用者の選択肢が豊富

低所得地域

  • 社会福祉法人中心の運営
  • 基本的なサービスが中心
  • 補助金への依存度が高い

社会的要因

高齢化率の影響

  • 高齢化率が高い地域:入所系サービスが多い
  • 高齢化率が低い地域:児童系サービスが多い

人口密度の影響

  • 高密度地域:居宅系サービスが充実
  • 低密度地域:通所系サービスが中心

成長エリアの特定

成長サービスの地域分布

放課後等デイサービス(14,663事業所)

  • 全国各地で急成長中
  • 子育て世代の多い地域で特に需要が高い
  • 早期療育への関心の高まり

児童発達支援(8,680事業所)

  • 都市部での参入が盛ん
  • 専門性の高いサービスが求められる
  • 早期発見・早期療育の重要性が認識されている

就労定着支援(1,234事業所)

  • 2018年新設サービスで急成長
  • 企業の障害者雇用意識の高まりと連動
  • 都市部での参入が中心

サービス不足地域の特徴

居宅訪問系サービス

  • 広域地域での移動効率が課題
  • 人材確保が困難な地域ではサービス不足
  • 新しいサービスは都市部中心の展開

専門性の高いサービス

  • 重度障害者等包括支援:16事業所と極めて少ない(0.0%シェア)
  • 医療型児童発達支援:89事業所と供給不足(0.1%シェア)
  • 居宅訪問型児童発達支援:164事業所と新しいサービス(0.1%シェア)

地域戦略の提言

新規参入戦略

首都圏戦略

  • 専門性の高いサービスで差別化
  • 多店舗展開による効率化
  • 人材確保体制の強化

地方部戦略

  • 地域密着型サービスの提供
  • 他事業所との連携・協力
  • 多機能型事業所の運営

事業拡大戦略

隣接エリア展開

  • 既存事業所の商圏拡大
  • ノウハウの横展開
  • 管理効率の向上

サービス多角化

  • 地域ニーズに応じたサービス追加
  • 利用者の生涯にわたる支援
  • 収益の安定化

地域別参入機会マップ

サービス別参入機会地域

放課後等デイサービス(成長市場)

  • 全国14,663事業所で最大規模のサービス
  • 総定員数128,349人、平均定員数8.8人
  • 子育て世代の多い地域で参入機会が豊富

居宅介護(安定市場)

  • 全国各地で安定した需要
  • 効率的な運営と人材確保がカギ

新設サービス(成長機会)

  • 就労定着支援、自立生活援助
  • 専門性とノウハウを持つ事業者に機会

中機会エリア

  • 茨城県:全般的なサービス不足
  • 群馬県:就労系サービス
  • 三重県:児童系サービス
  • 滋賀県:居宅系サービス

要注意エリア

  • 東京都心部:過度な競争
  • 大阪市内:価格競争激化
  • 過疎地域:需要の限界

本分析は2021年11月時点のデータに基づいています。地域情勢の変化に応じて、最新情報の確認をお勧めします。

2021年11月の記事

障害者福祉サービス市場概況分析(2021年11月版)

2021年11月時点で全国の障害者福祉サービス事業所は145,937事業所に達し、訪問系(32.6%)、通所・日中活動系(42.3%)、居住・入所系(9.2%)、相談・支援系(15.9%)が主要サービス。法人別では社会福祉法人が34%、株式会社が30%を占める。首都圏・関西圏に事業所が集中する一方、地方では人口当たりの密度が高い傾向がある。

地域別市場分析(2021年11月版)

2021年11月時点の障害者福祉サービス市場を地域別に分析。高知県、鳥取県などが人口当たりの事業所密度で上位を占める一方、首都圏は密度が低い。都市部では居宅系、地方では通所・入所系サービスが中心。地域特性に応じた事業戦略が求められる。

サービス動向分析(2021年11月版)

2021年11月時点の障害者福祉サービス29種別の動向を分析。就労定着支援や自立生活援助などの新興サービスが急成長。訪問系は市場の32.6%、通所・日中活動系は43.0%、居住・入所系は9.0%、相談・支援系は15.4%を占める。サービス複合化も進展しており、事業者には専門性向上や地域ニーズ把握が求められる。

事業モデル分析(2021年11月版)

障害者福祉サービス事業の成功モデルを法人規模、地域、サービス別に分析。大手は多角化、中規模は地域密着、小規模は専門性で差別化。都市部は専門特化、地方は総合型が有効。持続可能性には、財務、人材、社会的関係が重要であり、デジタル化と地域共生が今後の鍵となる。

定員・利用率分析(2021年11月版)

2021年11月時点の障害者福祉サービス事業所の定員と利用率を分析。総定員数は約100万人、平均定員は18.7人。小規模事業所が52.5%を占める。収益性は事業所規模に比例し、大規模事業所ほど高い傾向。地域やサービス種別に応じた最適定員の設定と、90%以上の利用率維持が経営安定の鍵となる。

成長機会分析(2021年11月版)

障害者福祉サービス市場の成長機会を分析。制度的、社会的要因を背景に、就労定着支援や自立生活援助などの新サービス、首都圏近郊や地方中核都市に高い機会が存在。成功には専門性、地域密着、効率化が鍵となり、デジタル化や医療的ケア対応が将来の有望分野。