サービス動向分析（2022年3月版）
概要
本分析では、2022年3月時点での29種類の障害福祉サービスについて、2021年11月データとの比較により各サービスの成長動向、市場特性、将来性を詳細に分析します。サービス別の成長率、地域分布、事業特性を通じて、市場トレンドを明らかにします。
サービス全体動向
成長率ランキング（2021年11月→2022年3月）
高成長サービス（成長率4%以上）
- 居宅訪問型児童発達支援: +10.4%（164施設→181施設）
- 保育所等訪問支援: +5.8%（1,582施設→1,673施設）
- 自立生活援助: +5.3%（301施設→317施設）
- 児童発達支援: +4.9%（8,680施設→9,109施設）
安定成長サービス（成長率2-4%）
- 放課後等デイサービス: +3.9%（14,663施設→15,229施設）
- 共同生活援助: +3.7%（10,012施設→10,386施設）
- 就労定着支援: +3.2%（1,234施設→1,273施設）
- 障害児相談支援: +2.5%（6,462施設→6,624施設）
成熟サービス（成長率1-2%）
- 居宅介護: +2.0%（19,535施設→19,919施設）
- 重度訪問介護: +2.0%（17,132施設→17,467施設）
- 行動援護: +2.0%（2,199施設→2,243施設）
- 同行援護: +2.0%（6,880施設→7,021施設）
サービス類型別詳細分析
訪問系サービス
市場概況
- 総施設数: 48,451施設（32.4%）
- 特徴: 在宅生活支援の基盤サービス
主要サービス分析
1. 居宅介護（サービスコード：11）
- 施設数: 19,919施設（全体13.3%）
- 成長: +384施設（+2.0%）
- 特徴: 最大規模のサービス、基本的生活支援
- 地域分布: 都市部・地方部ともに充実
- 事業特性: 参入しやすく、安定需要
2. 重度訪問介護（サービスコード：12）
- 施設数: 17,467施設（全体11.7%）
- 成長: +335施設（+2.0%）
- 特徴: 重度障害者への長時間支援
- 地域分布: 都市部に集中傾向
- 事業特性: 専門性高い、人材確保が課題
3. 同行援護（サービスコード：15）
- 施設数: 6,954施設（全体4.7%）
- 成長: +74施設（+1.1%）
- 特徴: 視覚障害者への移動支援
- 地域分布: 全国的に分散
- 事業特性: 専門技術要、ニーズ安定
通所・日中活動系サービス
市場概況
- 総施設数: 63,770施設（42.6%）
- 総定員: 797,243名
- 特徴: 市場の中核、最大セグメント
高成長サービス
1. 放課後等デイサービス（サービスコード：65）
- 施設数: 15,229施設（全体10.2%）
- 成長: +566施設（+3.9%）★第3位規模
- 定員: 132,323名（平均8.7名）
- 特徴: 児童発達支援の中核サービス
- 成長要因:
- 発達障害への理解向上
- 共働き世帯の増加
- 制度拡充効果
- 地域分布: 都市部で特に高成長
- 事業特性: 参入しやすく、収益性良好
2. 就労継続支援B型（サービスコード：46）
- 施設数: 13,587施設（全体9.1%）
- 成長: +342施設（+2.6%）
- 定員: 229,927名（平均16.9名）
- 特徴: 就労困難者の日中活動支援
- 地域分布: 全国に広く分布
- 事業特性: 安定した運営モデル
安定成長サービス
3. 生活介護（サービスコード：22）
- 施設数: 10,554施設（全体7.1%）
- 成長: +147施設（+1.4%）
- 定員: 266,227名（平均25.2名）
- 特徴: 重度障害者の日中活動支援
- 事業特性: 介護度高く専門性要、定員規模大
居住・入所系サービス
市場概況
- 総施設数: 13,644施設（9.1%）
- 総定員: 225,951名
- 特徴: 地域生活支援と施設支援の両軸
主要サービス分析
1. 共同生活援助（サービスコード：33）
- 施設数: 10,386施設（全体6.9%）
- 成長: +374施設（+3.7%）
- 特徴: 地域生活移行の受け皿
- 成長要因:
- 脱施設化政策の推進
- 地域生活への社会的要請
- 小規模化傾向
- 地域分布: 全国的に整備進行
- 事業特性: 初期投資大、長期安定経営
2. 施設入所支援（サービスコード：32）
- 施設数: 2,494施設（全体1.7%）
- 成長: +10施設（+0.4%）
- 定員: 119,638名（平均48.0名）
- 特徴: 重度障害者の居住支援
- 地域分布: 全国的に分散
- 事業特性: 大規模施設運営、専門職配置
相談・支援系サービス
市場概況
- 総施設数: 23,675施設（15.8%）
- 特徴: サービス利用の入口機能、連携調整
主要サービス分析
1. 計画相談支援（サービスコード：52）
- 施設数: 9,536施設（全体6.4%）
- 成長: +192施設（+2.1%）
- 特徴: サービス利用計画作成の中核
- 地域分布: 都市部・地方部ともに整備
- 事業特性: 連携調整力要、基幹サービス
2. 障害児相談支援（サービスコード：70）
- 施設数: 6,624施設（全体4.4%）
- 成長: +162施設（+2.5%）
- 特徴: 児童サービス利用の調整役
- 地域分布: 人口集中地域に多い
- 事業特性: 発達支援サービスとの連動
3. 就労定着支援（サービスコード：62）
- 施設数: 1,273施設（全体0.9%）
- 成長: +39施設（+3.2%）
- 特徴: 就労後の職場定着支援
- 地域分布: 都市部中心
- 事業特性: 企業連携型、コンサルティング要素
サービス特性別市場分析
成長ステージ別分類
導入期サービス
- 就労定着支援: 制度定着期、継続高成長
- 自立生活援助: 認知度向上期、潜在需要大
成長期サービス
- 放課後等デイサービス: 需要拡大継続、市場リーダー
- 児童発達支援: 早期療育定着、専門性向上
- 共同生活援助: 地域移行推進、小規模化
成熟期サービス
- 居宅介護: 市場飽和、効率化重要
- 重度訪問介護: 専門性重視、人材確保
- 生活介護: 多機能化、高付加価値
安定期サービス
- 施設入所支援: 地域移行により減少傾向
- 療養介護: ニーズ限定、専門性特化
収益性分析
高収益期待サービス
- 放課後等デイサービス: 利用率高、運営効率良
- 児童発達支援: 専門性評価、単価上昇
- 就労定着支援: 新サービス、競合少
安定収益サービス
- 居宅介護: 需要安定、参入しやすい
- 生活介護: 大規模運営、スケールメリット
- 計画相談支援: 必須サービス、安定需要
運営困難サービス
- 重度障害者等包括支援: 要件厳格、対象限定
- 医療型サービス: 専門性要求、初期投資大
- 過疎地サービス: 効率性低、人材確保困難
地域特性とサービス展開
都市部特化サービス
- 放課後等デイサービス: 共働き世帯対応
- 児童発達支援: 早期療育ニーズ
- 相談支援: 専門性・多様性要求
地方部重要サービス
- 居宅介護: 基本的生活支援
- 生活介護: 地域の活動拠点
- 共同生活援助: 住まいの確保
全国共通ニーズ
- 就労継続支援B型: 働く場の提供
- 短期入所: 家族支援・緊急対応
- 計画相談支援: 支援調整・質向上
今後の成長予測
高成長継続予想
- 児童発達支援系: 早期療育への関心継続
- 就労支援系: 障害者雇用促進政策
- 地域生活支援系: 脱施設化政策
新たな成長分野
- 重度・医療的ケア: 専門性強化
- 高齢化対応: 障害者の高齢化
- ICT活用: 効率化・質向上
構造変化要因
- 法制度改正: 報酬改定、基準見直し
- 社会情勢: 少子高齢化、働き方改革
- 技術革新: AI・IoT活用、遠隔支援
本分析は2022年3月時点のデータに基づき、2021年11月データとの比較により各サービスの成長動向と市場特性を分析しています。成長率は4ヶ月間の実績値であり、年間成長率は約3倍での推計となります。