サービス動向分析（2022年9月版）

概要

本分析は、2022年9月時点における29種類の障害福祉サービスの動向を詳細に分析し、各サービスの市場地位、成長性、将来性を評価したものです。前期（2022年3月）との比較により、サービス別の成長トレンドと市場機会を明確にします。

サービス別成長率ランキング

高成長サービス（成長率7%以上）

安定成長サービス（成長率3-7%）

サービスカテゴリー別動向分析

訪問系サービス

市場概況

• 総施設数: 49,830施設（全体の31.9%）
• 前期比成長: +1,348施設（+2.9%成長）
• 市場特徴: 在宅生活支援の基盤サービス、安定した成長継続

主要サービス分析

居宅介護

• 施設数: 20,497施設（訪問系の42.8%）
• 成長率: +2.9%（+578施設）
• 特徴: 最も基本的なサービス、安定収益が見込める
• 事業機会: ヘルパー確保、24時間対応体制

重度訪問介護

• 施設数: 17,899施設（訪問系の37.3%）
• 成長率: +2.5%（+432施設）
• 特徴: 重度者対応の専門性が要求される
• 事業機会: 医療的ケア対応、長時間支援体制

保育所等訪問支援

• 施設数: 1,902施設（訪問系の4.0%）
• 成長率: +13.7%（+229施設）
• 特徴: インクルーシブ教育推進で需要急増
• 事業機会: 療育専門職の配置、教育機関との連携

通所・日中活動系サービス

市場概況

• 総施設数: 60,452施設（全体の38.8%）
• 前期比成長: +3,389施設（+5.9%成長）
• 市場特徴: 児童向けサービスを中心に高い成長率を記録

主要サービス分析

放課後等デイサービス

• 施設数: 16,416施設（日中活動系の27.2%）
• 成長率: +7.8%（+1,187施設）
• 特徴: 共働き世帯の増加による放課後支援ニーズ
• 平均定員: 8.6名（小規模運営が主流）
• 事業機会: 学校周辺立地、送迎サービス充実が競争力の源泉

児童発達支援

• 施設数: 10,003施設（日中活動系の16.5%）
• 成長率: +9.8%（+894施設）
• 特徴: 早期発見・早期療育の推進で需要増加
• 平均定員: 9.4名
• 事業機会: 医療機関・保育所との連携、専門職配置による差別化

就労継続支援B型

• 施設数: 14,268施設（日中活動系の23.6%）
• 成長率: +5.0%（+681施設）
• 特徴: 安定した収益モデル、地域密着型運営
• 平均定員: 17.0名
• 事業機会: 工賃向上への取り組み、企業との連携強化

生活介護

• 施設数: 10,943施設（日中活動系の18.1%）
• 成長率: +3.7%（+389施設）
• 特徴: 重度者対応の基盤的サービス
• 平均定員: 25.1名
• 事業機会: 医療的ケア対応、高齢障害者支援

居住・入所系サービス

市場概況

• 総施設数: 14,125施設（全体の9.1%）
• 前期比成長: +615施設（+4.3%成長）
• 市場特徴: 安定したニーズに支えられ着実な成長

主要サービス分析

共同生活援助

• 施設数: 10,974施設（居住系の77.7%）
• 成長率: +5.7%（+588施設）
• 特徴: 地域生活の基盤となる住まいの場
• 事業機会: 重度対応型、医療連携型など専門性強化

施設入所支援

• 施設数: 2,499施設（居住系の17.7%）
• 成長率: +0.2%（+5施設）
• 特徴: 成長率は低いが安定した運営が可能
• 平均定員: 48.1名
• 事業機会: 重度・高齢障害者対応、医療連携強化

自立生活援助

• 施設数: 334施設（居住系の2.4%）
• 成長率: +5.4%（+17施設）
• 特徴: 2018年開始の新サービス、地域移行支援の一環
• 事業機会: 相談支援や居住系サービスとの連携

相談・支援系サービス

市場概況

• 総施設数: 33,466施設（全体の21.4%）
• 前期比成長: +1,080施設（+3.3%成長）
• 市場特徴: サービス利用者増加に伴い、相談支援体制が拡充

主要サービス分析

計画相談支援

• 施設数: 9,852施設（相談系の29.4%）
• 成長率: +3.3%（+316施設）
• 特徴: 全利用者への提供が原則、安定した事業基盤
• 事業機会: 他サービスとの併設、専門相談員の配置

障害児相談支援

• 施設数: 6,882施設（相談系の20.6%）
• 成長率: +3.9%（+258施設）
• 特徴: 児童系サービス拡大に伴い需要増加
• 事業機会: 児童系サービスとの一体的提供

就労定着支援

• 施設数: 1,381施設（相談系の4.1%）
• 成長率: +8.5%（+108施設）
• 特徴: 2018年開始の新サービス、今後の拡大期待
• 事業機会: 就労移行支援との一体運営、企業との長期関係構築

成熟度別サービス分類

成長期サービス（参入推奨）

特徴: 高成長率、市場拡大継続

• 児童発達支援
• 放課後等デイサービス
• 就労定着支援
• 保育所等訪問支援

参入戦略: 早期参入による市場シェア確保、専門性確立

安定期サービス（確実な収益）

特徴: 中程度成長率、安定した事業基盤

• 就労継続支援B型
• 生活介護
• 共同生活援助
• 居宅介護

参入戦略: 品質向上による差別化、効率的運営体制

成熟期サービス（専門性重視）

特徴: 低成長率、高い専門性要求

• 施設入所支援
• 療養介護
• 重度訪問介護

参入戦略: 高度専門性、重度対応力による差別化

今後の成長予測

2023年以降の注目サービス

医療的ケア児対応サービス

• 対象: 重症心身障害児、医療的ケア児
• 成長要因: 在宅医療推進、家族支援ニーズ
• 関連サービス: 居宅訪問型児童発達支援、短期入所

高齢障害者対応サービス

• 対象: 65歳以上の障害者
• 成長要因: 障害者の高齢化進行
• 関連サービス: 生活介護、共同生活援助

就労支援の高度化

• トレンド: 企業内支援、定着支援強化
• 成長要因: 障害者雇用率向上、ダイバーシティ推進
• 関連サービス: 就労移行支援、就労定着支援

事業者への提言

成長分野への参入検討

1. 児童系サービス: 専門職確保と療育プログラム開発
2. 就労定着支援: 企業開拓と長期支援体制
3. 相談支援: 他サービスとの連携強化

既存サービスの強化

1. 品質向上: 利用者満足度と職員定着率改善
2. 効率化: ICT活用による業務効率化
3. 連携強化: 地域資源との ネットワーク構築

本分析は2022年9月時点のデータに基づき、各サービスの動向と将来性を分析しています。事業計画策定時は最新の制度動向と地域ニーズの確認をお勧めします。